特集:
2008/06/06 日記<軽油>
軽油
軽油(けいゆ)とは、原油から精製される石油製品の一種で、主としてディーゼルエンジンの燃料として使用され、その用途のものはディーゼル燃料ともいう。軽油の名は、重油に対応して付けられたものである。決して「軽自動車用の燃料」という意味ではない。英語圏では「Diesel」で、軽油(ディーゼル燃料)の意味となる。日本のガソリンスタンドでは、セルフ式スタンドの普及により誤給油を防ぐ理由から「軽油」の代わりに「ディーゼル」と表記されている場合がある。第4類危険物の第2石油類に属する。
概要
原油の常圧蒸留装置|蒸留によって得られる沸点範囲が180〜350℃程度の石油製品(炭化水素混合物)である。精製直後は無色であるが、出荷前にエメラルドグリーンなどに着色される(精製会社により異なる)。
用途
主にディーゼルエンジンの燃料として用いられる。自動車・鉄道・船舶用のディーゼル燃料が日本の軽油の消費量の95%を占めるが、窯業・鉄鋼用の燃料あるいは電力用補助燃料としても使用されている。高出力で熱効率(燃費)が良いため、負荷の大きいバス (車両)|バスや貨物自動車|トラック・建設機械等に向いており、またガソリンよりも税金(軽油引取税等)が安い利点もある。ヨーロッパでは自家用車でもディーゼルエンジン搭載車両が増えてきている(→ディーゼル自動車)。また引火・爆発の危険が低いため戦車などの軍用車輌にも使われており、中には燃料タンクを装甲の一部としている例も見られる。
品質
ディーゼル用軽油としての要求性状は
:#始動・燃焼を順調に行うため着火性の良いこと。すなわちセタン価が高いこと。
:#燃焼を均一に行うために噴霧を良くすることが必要である。そのため、燃料中に不純物を含まず、かつ、粘度が適当であること。
:#不完全燃焼による炭素の生成を防止するため、アスファルトなどの高沸点留分が少ないことなどである。
これらをふまえた上で、軽油の規格は次のとおりとされる。*日本工業規格|JIS K2204規格による軽油の分類・性状
| 試験項目 | 試験方法 | 種 類 | ||||
| 特1号 | 1号 | 2号 | 3号 | 特3号 | ||
| 引火点 ℃ | JIS K2265 | 50以上 | 45以上 | |||
| 蒸留性状 90%留出 温度 ℃ |
JIS K2254 | 360以下 | 350以下 | 330以下(*1) | 330以下 | |
| 流動点 ℃ | JIS K2269 | +5以下 | -2.5以下 | -7.5以下 | -20以下 | -30以下 |
| 目詰まり点 ℃ | JIS K2288 | − | -1以下 | -5以下 | -12以下 | -19以下 |
| 10%残油の残留 炭素分質量% |
JIS K2270 | 0.1以下 | ||||
| セタン指数(*2) | JIS K2280 | 50以上 | 45以上 | |||
| 動粘度(30℃) mm2/s | JIS K2283 | 2.7以上 | 2.5以上 | 2.0以上 | 1.7以上 | |
| 硫黄分 質量% | JIS K2541-1, JIS K2541-2, JIS K2541-6 又は JIS K2541-7 |
0.0050以下 | ||||
| 密度(15℃) g/cm3 | JIS K2249 | 0.86以下 | ||||
| 備 考 | 夏季用 | 冬季用 | 寒冷地用 | |||
:(*1)動粘度(30℃)が4.7mm2/s以下の場合には,350℃とする。
:(*2)セタン指数は,セタン価を用いることもできる。*地方税法上の軽油の規格
:*90%留出温度:360度以下
低硫黄化(脱硫)
環境規制に対応するために、自動車の触媒やパティキュレートフィルターに悪影響を及ぼす硫黄分を減らす、低硫黄(サルファーフリー)化が1992年に5,000ppmから2,000ppmへ、1997年からは500ppmへと段階的に進められ、2003年からは50ppmへ、さらに2007年から10ppmへとさらなる低硫黄化が進められている。日本では2004年末、自動車排出ガス規制に関連する「自動車燃料品質規制値」の変更に伴い、軽油に含まれる硫黄の許容限界は、従来の0.01%質量以下から0.005%質量以下へと改められた 自動車燃料品質規制値(環境省)。燃料内の硫黄分は噴射ポンプと噴射ノズルの潤滑のためには必要な要素であったため、脱硫した軽油には潤滑材(剤)が添加されている。
販売
軽油やガソリンは、特約店を通じてガソリンスタンド等で販売されるのが一般的であるが、同じ自動車燃料として使用されるガソリンと異なる点として、軽油は需要の多くがバスやトラック業者などの大口需要家で占められることから、大口需要家に対しては、元売や特約店による需要家の所有する地下タンクへの直接納入(インタンク)が行われる。
また軽油に特化した広域販売店(フリート)での販売も行われている。
セルフ式ガソリンスタンドでの注意点
軽油はあくまでディーゼルエンジン車用の燃料である。(ガソリンエンジンの)軽自動車には入れてはならない。ガソリン車に軽油を入れてエンジンを稼働した場合は、すぐに動かなくなるものの大事に至らない。しかし、ディーゼル車にガソリンを入れてエンジンを稼働した場合は、噴射ポンプや噴射ノズルにダメージを与える。そのため、誤って給油した場合は必ずエンジン始動前に燃料タンクを空にする必要がある。
軽油引取税
ディーゼル車用燃料として使われる軽油の取引には、軽油引取税という地方税|都道府県税がかかる(ガソリンには揮発油税及び地方道路税(いずれも国税)が係る)。近年、軽油引取税を脱税するために、重油・灯油などを混合してディーゼル車で使えるようにした不正軽油が製造・販売・消費されるようになり、混合による煤煙の増加によってもたらされる大気汚染も含めて社会問題化している。軽油引取税の一般財源化が審議されているが、一般財源化されるのであれば道路建設目的の財源ではなくなるため、軽油のみに課税すること自体が課税の公平性を保つ上で大きな争点になりうる。
燃焼のため発生する物質による大気汚染・酸性雨・地球温暖化が社会的に問題となっている現代では、環境負荷に対する負担に対して税を課するという点で言えば、自動車用燃料のみに軽油引取税という形で課税することは公平であるとは言いがたく、自動車以外の燃料用の重油類に対しても課税すべきであると言える。
関連項目
参照
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